珍しく本気で面白かった今回。

友人が言っていたように『前半ドラマ、後半戦闘』のパターンをきっちり踏襲しているとそれなりに面白い。

 


ガンダムSEEDデスティニー25話 罪の在処



<あらすじ>
地球軍の生体兵器計画が明らかになる。


<みどころ>

今回よりオープニングが変わる。「主人公の在処」とでもしたほうがいいんじゃないか、この話?

迷いながらたどり着く場所を探してるってのはまさに、この話のテーマそのものだけど・・・

 

どうでもいいがみんな服を着ろ。脱ぐなら下も出せ。

ていうかザク、ずいぶん悪そうになったなぁ。SEEDで敵MSが初めて怖く見えたよ^^;。

 

前半、前回の話し合いの続き。平行線のまま終わる。

「お前の実力じゃ俺たちの前に立ちはだかっても何もできないよ。(ていうかその発言ラクスに敵対するって取っていいの?)と懸命に訴えかけるキラ。

が、親友の面子をつぶさないように丁寧に話していたため真意は結局アスランには伝わらなかった模様。

(キラの視線に憐れみが見て取れるのは気のせいではあるまい)

 

結局、ラクスを狙ったのが誰なのかについては誰も言及しなかった。“暗殺者=コーディネーター”ってもみあげ(虎)のうろ覚えの記憶とキラたちの“戦ったフィーリング”とかいうすごくあやふやな根拠しかないはずなのに。

 

サラリーマンの月給三か月分の婚約指輪は国家勲章には勝てなかった模様。

 

てことでザフトに戻るアスラン。言っていることは正しい。ザフトの士官としてなら。

が、彼の身分はフェイス。“勝手に行動していい。ていうかしてくれ”と権力サイドから言われてもいる。

どうやら、アスランにとってフェイスとは「ただのかっこいいブローチ」でしかなかったらしい。

 

 

後半は前回の謎の施設を中心に話が展開する。

この施設、じつは連合の生体兵器プラントで、新旧三バカの生誕地だったことが判明。

 

突如苦しみだしたレイ。それを見て右往左往するシン。

前大戦でザフトが勝ちきれなかったのは応急処置の仕方を教えていなかったことが原因なのではなかろうか。

せっかくだからラクス(ミーア)のCDかなんかで歌って覚える応急処置とかやれば一石二鳥なのに。

 

SEEDの隠れたテーマとして、“人間を人工的に改造することに意味なんてあるの?”というものがあるのではないか。

ザフトの人間(コーディネーター)とは:

軍人みんなで仕事そっちのけでライブに熱中(本国での生活は逼迫してなさそうなのに娯楽が少ない&偏っている)。

データが取れているはずのオーブフリーダムにあっさり制空権侵入される。

服のセンスがいけてない。

ごく一部を除いて戦闘能力が従来の人間とあまり変わらない。

遺伝子改造されて高度な知性と能力を身につけた人間たちにはとても見えない。

 

そういう人間たちに対抗して“戦闘に特化した人間”だけを作ろうとしたのが今回の施設。

そこでは人間を部品扱いする過酷な実験が繰り返されていた・・・らしいのだが、

 

地球連合はその施設が不要になった際、爆撃やら自爆などではなくわざわざ近接戦闘で実験体を処分しようとしたらしい。

彼らの第一話での圧倒的な戦闘力を思い出すならば結果はいうまでもなく、データ消去は失敗し、おびただしい死体とデータが丸々ザフトの前にさらされる。

 

死体を前に醜態をさらしまくるアーサー。

番組始まって以降、ミネルバクルーは結構血なまぐさい戦闘を経験しているはずである。脳がわからない散漫な注意力はともかく、死体を見ていちいち驚くのはどうか。彼はやはり、「色々な資格が取れる上に座ってるだけで安全に仕事ができるから」という理由で仕事を決め、面倒なことはすべて部下任せにしていたのであろう。

 

施設がザフトの手に落ちたと言うことがステラの耳に入ったことからアウルとステラが暴走。

故郷の危機に半狂乱になるアウルの姿が涙を誘うが、この三人の“ブロックワード”とはなんなのだろう?

“母”がブロックワードとなるアウル。

“死”がブロックワードのステラ。

 

どちらも人間の日常生活に大変近く、そして戦場で頻出する言葉である。

そういった基本的なものすら統御できない改造人間たち。そうまでして目指すコーディネーターは・・・

 

・・・ピンクのライブで踊り狂ってる人たちである。そら抜きがたい憎悪沸くわ。

 

とはいえ、こうした日常的な言葉で暴走する危険性を持った、しかも子供たち。改造人間じゃなくても普通に保護者の監視が必要なはずだ。

が、今回とくにその監視の描写がなく、結果、ステラが勝手に出撃してしまう。

ネオに注進にきた士官のうかつさといい、アウルの方に向かったネオを呼び止めた男といい、作為的なものが感じられてならない。

 

すなわち、れいの“連合内部の派閥争い”である。

連合の背後には軍産複合体(ロゴス)があることはすでに語られた。

つまり、どの兵器が生産ラインに乗るかは軽視できない問題であるし、そのまま権力争いとも密接に関わってくる。ナチュラルでも使えるMSか、MAか、それとも特殊な人間たちの超兵器か。

少数の種類の兵器だけで部隊が組めたアズラエル時代との違いが、ここに見て取れる。

 

今回判明した、ガイアのOSが書き換えられていなかったこともこの事実を裏書きするのではあるまいか。

 

さて、アウルに代わって友情?出撃したステラ。ザフトの防空隊が何もしていなかったためあっさり施設に近づく。

(フリーダムが侵入できたことといい、ザフトの地上軍にはMSのデータが生産段階でしか届いていないのかと心配になってしまう。)

 

ステラ VS シン&アスラン。

ガイアのビーム攻撃を果敢に受け止め、ステラを撃破するシン。(グフとは違うんです、グフとは!

暴露したコックピットの中にステラの姿を認めたシンは・・・・という引きで終わる。このテンションで次回も行ってくれるとすごく面白いんだけどなぁ。

 

 

今回はシンについても重要な描写がいくつか見られる。

 

応急処置が満足にできなかったことは前述したが、施設の内部にて死体を見たときには憤怒の形相すさまじく、施設の前ではブルコスへの怒りをぶちまける。

 

死体に反応するのは第一話のこともあるからだろうが、ブルコスへの怒りも何か個人的な経験に根ざしているように見える。

オーブにいた頃に差別でもされたのだろうか?

だとすれば、オーブへの屈折した感情や両親に一切言及しないことの理由も多少は推察できようものである。

 

また、ラストでのガイアとの戦闘でもコクピットを皮一枚で切るという、文字通りの神業でガイアを圧倒している。

技術もさることながら、第一話以来の“ガイア=なるべく取り戻すべきもの”としての認識に基づいた責任ある対応はさすがトップガンといえる。

彼は仕事を果たしたのだ。

こうしてみていると、「弱いくせに先輩面をする」アスランへの彼の苛立ちの描写も、それなりに判る気がする。

 

 

アスランとキラの性格を踏まえた対立や葛藤、シンの描きこみ、テーマへの言及。

前作の設定と今回との連続性をしっかり絡めてそれなりに丁寧に作りこまれていた今回。

使い回しが非常に多いが、決して鬱陶しくない。低コストで高品質が実現されている。

 

 

強いて言うなら

 

 

 

 

 

 

ステラとカガリの区別がつきません

ぐらいか?

 

 

最後に、ルナマリアが艦に戻るまでにかなりのタイムラグがある今回。彼女にも裏があったり・・・・・すると楽しいな。まずないだろうけど。

 

 

<けつろん>

安全のためヘルメットは着用しましょう。

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