各所で流れる“アウル・ニーダ死亡説”。そのせいか、やたら切なく見えた今回。
だから気になりませんでした、ひどい作画もやたら早くて不自然なアウルのドリブルも。
ガンダムSEEDデスティニー27話 届かぬ想い
<あらすじ>
それぞれの思惑を秘め、ミネルバ待ち伏せ作戦発動。
<みどころ>
黒海を抜けジブラルタルを目指すミネルバに対し、再び攻撃を企図する連合軍。
一方のアークエンジェルも、再び“いまできるなにか”をするべく、進路を戦場へと向けるのであった。
しょっぱな。地中海のほのぼのとした夕暮れをバックに展開される連合軍の光景。
死が近いせいか“ふつう”に描かれるアウルたちの日常。とても銃突きつける人には見えない。
が、問題は他にある。
さして体格がいいわけでもない、つまり明らかに軍人に見えない子供たちが空母の甲板上でバスケをやっていることに誰も違和感を感じていない。
ここまでの話の描写で、世界にそこまで逼迫した動員令がかかっているようには見えないのである。
こんなに注意力が散漫だからガンダム取られるのではなかろうか。とはいえ、ネオの所属するこの軍団も微妙である。つまり、連合の中でもどの派閥なのかわからないグレーゾーン。水面下でのハラの探りあいがあるのかもしれない。
そのネオ、ネコ男に説教を食らう。このときネコ男が眺めていた画面とシャア議長の手元の画面が同じなのは注目。
議長は今回で“ラクスとキラが仮想敵”だったことをついに明言。ラクスもエターナル入りし、いよいよ新旧の覇王対決!?
とはいえ・・・この話を見ていると、全世界が戦争状態にあることをついつい忘れてしまう。ネコ男のモニターでも見ない限り。
作画がひどかったのと「ほーん」で終わってしまう為意外とツッコミどころがなかった今回だが、いくつか気になったポイントがある。
@ブルコスのみなさん
コーディネーターには盛んに反対しているくせに相当額の予算をブーステッドマン研究につぎ込んでいる。
彼らの趣旨からいえばブーステッドマンなんぞは真っ先に血祭りに上げてしかるべきなのにどうしたことか。
しかも、研究は当然の帰結として失敗している。
いっそ、“遺伝子改造に反対”ではなく“地球外の世界に目覚めてしまった別人種への反対”にすればよいのに。
Aテロリスト?
今回、資料提出を求められたルナマリアの疑問に「アークエンジェルはテロリストだから」の旨の発言をするアネゴ。
少しのちにミリアリアがアークエンジェル入りを表明し、とかく番組内ではひいきされるアークエンジェル。
いうまでもないが、正しいのはアネゴのはずである。問題はそれがそうは見えないことだ。
Bアスランとシン
前回アスランのどんくささが気になったわけだが、今回もスクランブルがかかってから発進するまでにやたら時間がかかっている。セイバーの場合、コクピットまであがる→発進する、だけでいいはずなのが、合体するインパルスより手間取っている。これはどうしたことか。
同じ議長に目をかけられたと言っても、帰化して才幹ひとつでのし上がった男がシンである。きびきびした動きがとても小気味よい。キャラが成長しないと叩かれるこの話だが、地味なところでがんばってちゃんと成長しているシンがいる。努力して、有能だったけど努力をしなかった先輩を追い抜いていく。
これこそまさに、全国の少年たちへの福田監督の熱いエールではあるまいか。決して演出が下手とか手抜きなわけじゃなくて。
うーん、深いなぁ。
Cキラ
ラクスの風呂場での話を聞き耳立てていたうしろめたさを口調だけで押し切ってしまった。さすがに大物である。
D作戦会議
オーブと連合の作戦会議。高々一隻、それもたいした搭載機のない戦艦相手にこれほどの兵力を投入するのも、目的の一つがアークエンジェルのいぶり出しと考えれば納得がいく。一方オーブにしてみれば“独立機動軍”に当たるのがアークエンジェル。無能の振りをしたり内輪もめをして見せたり、オーブのスタッフの苦労が握った拳という描写で心の奥にグサリと伝わってくる。公務員もラクではないのだ。
Eムラサメ
いつのまにかまともに戦えるようになっていた模様。最初からそうしてろよ。
今回といい前回といい象徴的だったのが“三つあったものが二つしかなくなる”という描写。3バカが2バカになったことの喪失感は割合うまく伝わってきているのではあるまいか。
そして、アウルとスティングは戦場を目指す。その心の穴に気付かぬまま。
<けつろん>
で、何が届かなかったんだろう?(ステラのこと?)