前回いみじくも「ジブリールを逃がすと取り返しのつかないことになる」との発言があった。

発言者がやられ役のおっさんだったので完全にスルーされたが、シャレにならない結果になってしまった今回。

できることはできるうちに、そう、たとえば夏休みの宿題は早めに片付けておかないと後が怖いのである。






ガンダムSEEDデスティニー44話 二人のラクス


<あらすじ>
ジブリールの最終兵器『レクイエム』がザフト本国を痛撃。


<みどころ>
まずはタイトルのラクス対決。

ここでも光るのはラクスの戦略センス。実にしたたかなのである。

電波ジャックにせよカガリ演説にせよ、語り手は言いっぱなしですむ。ジャックして割り込んでいるから相手の話を聞くと言う姿勢は微塵も無い。(だから話し合えってば

が、ラクスの語り掛けの際には画面の一角にミーアが映し出されている。つまり、視聴者は双方を同時に見ることができるのである。

 

ここでミーアが勝手に取り乱したため、ラクスに軍配。普通に堂々としていれば勝てるのに勿体無いことである。

アイドルに限らず、『世界レベルで通用する人間』を育てたければ、まずは『どんな不測の事態にも動じない“胆力”(心の強さ)』を鍛えることが必要なのではなかろうか。

 

そもそもこのミーアによる演説ジャックだが、何か意味があったのだろうか?

ラクスのカリスマが効果があるのはザフト限定である。地球圏の場合はアイドルとしての知名度はあっても信仰対象ではない。ラクスの軍事活動について知っている人間はごく少数だから、ラクスが何を言おうとしょせんは週刊誌ネタ程度の意味しか持たないはずなのである。それに前回も述べたが、普通に考えればカガリ側のラクスは外見の時点でアブナイ女性認定されるはずなので本家(ミーア)が動じなければ終わりである。それにカガリの演説である。ほっとけば勝手にボロが出て自滅していたのではなかろうか。

 

それにしても議長。「予想もしていなかった」などとはよく言えたものである。あってはならない政治的失言なのではないか。すくなくとも私などはそんなアホタレにはもう投票する気が失せてしまう。ついでに議長のミーアへの語りかけ、ひそかに過去形。つまりは『もう二度と会わないであろう人間』との話し方である。

 

どうでもいいのだが、この空港でのシーンはミーアにとって切所だったのではないか。

人間、生きていれば一度や二度は正念場が存在するという。今回ミーアが「そんな!私は議長と世界の平和に命を捧げたんです。今攻めれば勝てます!!」とでも一喝していればラクスを超えられたのではないか。なぜなら、大衆はまだ最終的な結論を下してはいないし、どちらが本物かを彼らが事実によって検証するのは不可能なのである。先に負けを認めたほうがニセモノ認定されるはずなのだ。この条件は必ずしもミーアにとって不利ではない。

 

たとえば、この段階ではミーアがラクスのことを先にニセモノと決め付け、あちこちのメディアで糾弾するのは非常に有効である。ニセモノとはいえミーアの芸能キャリア、観客の述べ人数など、つまりアイドルとしての場数と言う点ではすでにミーアはラクスに匹敵しており、また、議長が後ろ盾に居る。勝算はそれなりにかなり高いはずである。少なくとも無駄な行動ではない。徹底抗戦あるのみだったのではないか?

 

ここで、二人の決定的な差が露呈する。
ラクスにあってミーアに無いもの、すなわち『絶対の自信』である。ミーアのようにいちど自分を偽って他人のくれた運命にすがった人間にとって、自ら運命を作るのは非常に難しい。常について回るのは自分への不信であり、劣等感である。これはキラとシンの違いにも言えるのではなかろうか。まぁ洗脳の自覚の有無という違いかもしれないが。

 

シンにしてもミーアにしても強烈な覚悟をもってもってこの世界に飛び込んだ人間のはずである。過去のエピソードを思い起こすと「しっかりしろよコシヌケ!」と言いたくなるのはやむを得まい。

 

 

「二人のラクス」といいつつ前半の数分でピンクの出番が終わってしまった今回。中盤以降のメインはジブリールの最終兵器、レクイエムをめぐる話になる。ジュール(イザーク)隊の防戦むなしく甚大な被害を受けるプラント。ギャグマンガのような表情で驚く議長。

この話、タイトル「レクイエム始動」とか「弔鐘の響き」とでもすればよかったのではないか。

 

どうでもいいがこんな大事なもん警戒してないザフト、いかがなものか。レイが「ジブリールを宇宙に上げた俺たちの責任である」と言っていたが、至極最もなことである。

というよりこの悲劇、タリアとカガリの共闘で回避できたのではないか?面識があり、ミネルバの艦長=タリアとカガリが想定していた様子も描かれている。カガリ側から回線を開いていれば高確率で実現していた気がする。

 

さらにどうでもいいがレクイエム護衛艦隊、数がいるくせにほとんど役に立っていない

 

ラスト、決意を新たにするアークエンジェルの面々。そして舞台は決戦の宇宙へ・・・

戦争を終わらせる手段から議長たたきに巧妙に論点を摩り替えるラクスのほうが気になってしまったよ、うん。

 

 

とりあえずディアッカが生存したのでアルタ前で叫んできます。続きは深夜に。

 



<けつろん>
ていうかカガリ演説はどうなったんだろう。彼女はシャア議長に何か言いたかったことがあったはず。






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