DVDにネットカフェ、とガンダムのおかげで福沢先生に自由の翼が生えて飛んでいく。これも運命なのだろうか。



ガンダムSEEDデスティニー45話 変革の序曲


<あらすじ>
プラントとロゴスの最終決戦。ジブリールが死んでロゴスが壊滅する。


<みどころ>
シンたちがまともに主役で戦える恐らくは最後の回。シンルナのからみがそれなりによい。

最近読んだ本で、2300年ほど前の中国・春秋時代の趙括(チョウカツ)という秀才の話があった。
この人、趙(チョウ)の国の名将・趙奢(チョウシャ)の子でいわゆる“机上の戦略”には自信がある人間。百戦錬磨の父親と論を戦わせてもしばしば論破したそうである。が、父親はどうしても認めなかった。「括の戦略は実戦では役に立たない。彼に兵を任せたら必ず負けるであろう。」

この父の死後、趙括は国の運命を背負った決戦の総司令官を任される。果たして大敗し、犠牲は40万。彼自身も戦死する。そしてこの大敗が原因で趙の国も滅亡してしまう。
後の世にはたとえばバショク(泣いて切られた人)なんてのもいるし、教科書の勉強でならできる人が実戦で役に立たないなんてことは山ほどある。

趙括はなぜ“使い物にならない”と言われたのだろうか?

秀才はどうして、実戦じゃ使い物にならないのか?



などと一見関係のないつかみから入ってみる。皆さんもちょっと考えてみて欲しい。


冒頭・ジブリールの戦略兵器・レクイエムにおびえて避難する市民。「パニック」と言われている割には淡々と逃げている人々。ここまで整然と逃げてくれると避難訓練のし甲斐もあるというものである。

本編。始まった全面衝突。月からは地球軍が、プラントからはザフトの全軍が、レクイエムの中継点を目指して進撃。天下分け目の決戦の火蓋が切って落とされる。緊張感絶無だけど。そのさなかスキをついて一隻でレクイエム主砲へ奇襲をかけよ、と命じられたミネルバ。ミネルバの戦力は最新鋭とはいえMSがわずか3機。まさに運任せの作戦であったー。

本来なら“主役が出るから絶対勝つだろう”と言いたいところなのだが。。。ミネルバ組は全員死亡フラグが立ちそうなだけに気が気でならない

作戦はチームを二手に分け、シンとレイが敵をひきつけているうちにルナがインパルスで内部に侵入、一気に無力化するというもの。ルナに射撃と言うのもこれまた心配なのだが、迎撃にでた連合、性懲りもなくデストロイの集団運用。こいつら学習しろよ。


地球連合軍の弱点は決定力を欠くこと、よりわかりやすくいうとシンレイを止められる戦力がないことである。本来3バカなりネオがやっていたことであるが・・
昨年の暮れにザムザザーおやじがいみじくも「これからはMAが主役になる」と言っていたが、見事にあたってしまったことになる。

なぜか、と考えてみた。冷静に考えればSEED本編よりこのかた、連合はエクステンデッド以外ではザフトのエース機を止められていない。
前大戦のあと本編に登場した新兵器はダガーL、エグザス、ウィンダム、ザムザザー、ゲルズゲー、ユークリッド、それにデストロイである。エグザスだけ例外的であるが、その他はみな量産機であり、資源にしても労力にしても99%までは量産機に割かれたものと思われる。これらの機体の特徴は数が作れること、一定の性能があること、そしてガンダムには決して敵しえないことである。彼らは何のためにこんなものを作ったのか?

連合、ガンダムの威力を軽視していたのではないか?
連合の一連の流れ、艦隊対艦隊の普通の砲撃戦をメインで考えるならそれなりに筋が通る。戦艦並みの火力をもつザムザザー、デストロイ。艦砲もラクラク止めるゲルズゲー、ザムザザーにユークリッド。ゲイツやザクはウィンダムで止めうる。敵のMSを足止めしているうちにアウトレンジから大火力で艦隊を殲滅する。敵艦の砲撃にはMA隊の“光のタテ”で防ぐ。なかなかの運用法なのではないか。実際、今回にしても初期の戦闘にしても月艦隊はいい勝負をしている。
また、連合の兵器は敵が“大軍”で“密集”している場合には一定の効果をあげていた。そして、本編を見る限りではCE73の世界では連合はガンダムクラスのMSを投入した形跡がない。

前大戦で連合が得た教訓は“MSは強い。数を作って圧倒しよう”ということではなかったのか?ハルバートンもいみじくも“MSが圧倒的だから敗れた”との解釈を残して散っている(人迷惑な事実誤認である)実態はもちろんMSの中でもガンダムが特別強く、“ガンダムたちが圧倒的だったから敗れた”ということなのだが、こうした誤解は生まれてもおかしくはない。
現実に
前大戦を見る限り、ガンダムの戦果は決定的ではなく、戦局の推移は会戦によってもたらされている。

つまり、人口が多くて人間を使い捨てにできる連合は、『1機や2機のMSでは戦局は動かせない』と考え、人口が少なくパイロットが貴重なザフトは逆に『1機や2機で戦局を動かしうる強力なMSを作ろう』という方向に走ったのではないか?SEED世界であるだけにパイロットが絶対に裏切らないという要素が決定的に大事になるわけではあるが。



ていうかネコ男(TT。
とても悪いヤツのはずなのになぜか悲惨な人という印象しかなかった。よくよく考えてみるとこの人、やることなすことポイントがおかしい上に裏目にしか出ていない。ていうか哄笑するやくざっぽい背広の男いつも悔しがって暴れまわる学ランの男とじゃイメージ違いすぎるよな。

この世界じゃマトモに悪くてずるいのが彼ぐらいしかいないのでもうちょっと粘ってくれればと思ってしまう今日この頃。彼が死んでしまったのはやはり、ラッキーマスコットの黒猫を携帯していなかったからなのだろうか。


どうでもいいがブリッツが最初にやられたのってブリッツが消えたまま突撃してきたら誰も止められないって途中でスタッフが気づいたからなのだろうか?

無敵のはずの消える戦艦ガーティ・ルーがなんらいいところなくやられてしまったので改めてそう思ってしまった次第。この船の失敗は艦長がむさいおっさんだったことなんだろうなぁ。美人でEカップくらいの娘っ子が艦長なら不可能を可能にする男が舞い戻ってきて助けてくれただろうに。

さらにどうでもいいが「皇族を准将にする人事」がある「首長国」で「テロ支援国」っていうとイスラム某国を思い出してしまうのは気のせいだろうか?カガリんちでも「財布なくしたよー!!」「どこで?」「私の家で」とかいうことが平気でありそうだしなぁ。

ちなみに“財布をなくした友人”の家は“広すぎて飛行機じゃないと全貌がわからない”とのことであった。


これを踏まえて種運命を見る。全体の9割を消化した段階で王手をかけているイスラム連合軍に対し、アメリカをモチーフとした国の若き兵士たち。


・・ハリウッド映画のような展開を期待していいんだよね?そうだよね?絶対そうだよねorz


どうでもいいが虎の子の主力艦のエース部隊がなんでわざわざ情報収集にいかなくちゃいけないんだろう。ああそうか、『たまたま○○に出会う』っていう英傑同士にしか絶対起きないイベントがあるからか。

そういえばメイリンとカガリって年の差ないんじゃなかったっけか。メイリンもかなり成績優秀だったはずだから「この人アカデミーだったら絶対私より下なのに」と思っていてもおかしくない。

ラスト、アークエンジェルが宇宙へ。見送るカガリたち。47話まで見ていた身としてはザフトのみなさん今狙撃しろよと声を大にして言いたい今日このごろ。


どうでもいいがレクイエムみたいな兵器って位置を特定されたら終わりなのではないか。せっかく反射してるんだからそういうのってなんとかならないのかねぇ。


さて、冒頭の問いについて。趙奢のいわく「括は口だけで命のやり取りの重みを知らない」とのこと。つまりはリアリティの認識の欠如である。
たとえばルナとシンの場合、次でどっちかが死ぬかもしれない、というのは本当に死にそうなだけにとても切実である。
が、アスキラにはそういった意識がまったく感じられない。というか勝って当たり前と言う意識しかないようである。彼らは戦争では味方にも必ず犠牲が出るということを認識しているのだろうか?だからこそ、彼らが戦争を語るときにたまらない嫌悪感を感じる人間が多いのではないか。

リアリティのない理屈だけで生きていける主人公たちと、リアルを無視できるはずなのに命を的にしなければならない本来の主人公たち。

結論はやはり、下の台詞で締めくくらせていただこう。


<けつろん

『遊びでやってるんじゃないんだよ!人がいっぱい死んだんだぞ!!』(Zガンダム49話より)



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