ガンダムコラム(SEED)。

ちょうしにのってさんぼんめ。

<議長の広域戦略?>

35話までを見ていてふと思う。この世界って実は兵站がすでに破綻しかけているのかな、と。とくにザフト。

兵站とは武器弾薬と燃料の補給である。要するに軍隊を常に戦える状態にしておくことだ。

 

今作ではしょっぱなに地球各地に大被害が出ているため、本来地球では兵站線に深刻な打撃が出ているはずである。

 

かたやザフト、みる限りでは連合の大攻勢を水際で壊滅させたきり、宣戦こそしているものの大規模に兵力を動かした形跡がない。

てっきりスタッフがいい加減なので戦争の実感が湧いていないだけかと信じて疑っていなかったが、ザフトは兵を動かしたくても艦隊が動かせないくらいに燃料が欠乏していたのではあるまいか。

そう考えると、宣戦したきり動きがないこと、月攻略作戦が発動しないこと、あの意味不明な慰問ライブ、オーブのいぶり出しへのこだわり、などそれなりに合点がいく。

 

二強が兵站やばくなれば相対的にオーブが強くなる。そのためにラクス以下オーブ“正規軍”を本国から離反させ、オーブの主力軍のほうを消耗させる。

連合も連合で兵力は大して動かせないのであろう。結局ミネルバ周辺での動きがあの時点での“戦争”の全てだったのではあるまいか。連合MSにしたところで前線に張り付いてにらみ合い。ザフトもザフトで小規模艦隊を出撃させるのが精一杯。その中で議長が待っていたのは連合自身が墓穴を掘ること、具体的にはデストロイの出現である。むろんネコ男をそれなりにたきつけてはいるわけだ。

 

では、アークエンジェルはどういう役割を果たしたのか?議長は邪魔になるその戦闘力をそのまま敵を削ることに使わせたのだ。まさに一石二鳥である。連合とオーブと自軍内の不穏分子をアークエンジェルによって散々削らせた上でアークエンジェルとデストロイを共倒れさせる。仕上げは敵の防御が手薄な敵本拠を敵の市民自身で叩き潰させる。

 

で、結果的に何が残るか?

頭がつぶれた時点で前線そのものが無意味になった上にロゴスの何割かは手中にすることが出来る。のどから手が出るほどほしかった物資である。おまけにこの時点で敵対勢力が消耗しきっているため、地球圏は彼の思うがまま。

 

してみると案外頭が良いなこの戦略。自分からギリギリまで手を下していないし。実行犯はこのままアークエンジェル残党と消耗戦を強いられるわけだし。

ここまで考えて議長が実行していたとしたら、この男はやはりラクスの敵手たる資格があるのではないか?

 

・・・・絶対そんなことないよと半ば悲観しつつ。

 

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