あとがきにかえて



ずいぶんお待たせいたしました。合計で1ヵ月半。“あそび”のはずが由々しいことです。予告なんてするもんじゃないと痛感しています。
SEEDデスティニー終了後もこのサイトに足をお運びくださった皆様、本当にありがとうございました。
ささやかなお礼といたしまして、執筆に当たって僕の考えたこと、取捨選択のプロセスを簡単にお見せいたします。みなさまが何かを作られる際のご参考になれば幸いです。


基本構想

僕は2次があまり好きではなく、歴史を改変する仮想戦記にいたっては毛嫌いする人間です。この作品も火遊びに近いものがあります。
それでも筆を執ったのは、44話『二人のラクス』でミーアを吹き抜けた時代の風に魅了されたからに他なりません。その後ミーアが設定を生かされることのないまま死ぬに及び、大体の構想がまとまりました。彼女を晴れ舞台で鮮やかに死なせたいというのがモロ願望です(笑。

時代の大きな変わり目に、灼熱の風とも言うべきエネルギーのうねりが発生することがあります。南北朝しかり、幕末しかり、フランス革命しかり・・・。この風、つまりひとつの歴史現象が生まれ、潰えていく過程をミーアという少女を通して描く。これが、僕の書きたかったものです(言葉としてわかったのはついさっきですが^^)。


留意した点

とはいえ、やはりIFものは嫌いなので“史実”と異なる要素は一箇所しか入れていません。(冒頭の兵士のエピソード)
その後の展開が難産になりました。更新が遅れた06以降の部分です。経験の少ない20代の若造がぜんぜん思考パターンの違う思春期の少女を描くこと自体に無理があるということに気がついたときには、もう後に引けないところまできていました。

状況が変化すれば人間の対応も変わります。ミーアのカミングアウトひとつをとっても、書き進むうちにミーア個人の意思だけでは決まらなくなってきます。また、ミーアの中でラクスはをどういう位置だったのか?周囲の人間たちはどう変わっていったのか?そしてミーアはミーア自身とどう向き合えば自然なのか?それぞれが厄介な作業になりました。

物語時間は慰問行だけなのでせいぜい2週間程度になります。このため、ミーアはアイデンティティ(自分のありよう)を追求する存在としてだけ描いています。もう少し長かったら恋とか人間関係のドロドロがでてくるのでしょうが・・・・

ガンダムにつきものの戦闘描写は意図的に抑えました。あくまでミーアの物語だからです。この時期はまだ連合が生き残っているはずですが、同様の理由で割愛しています。サラ(ボディガード)とトム(兵士)のその後は少し迷い、やはり割愛しました。サラについてはミーアの死に際に出てきた名前の順番と、ラクス側の工作が成功している事実がすべてです。
いっぽう、最後をキララクで締めることはあらかじめ決まってました。あとがきは『どす黒さを味わってください』と一行だけ書くつもりだったほどです(笑。

書く姿勢として注意していたポイントは違和感です。流れに違和感はないか。心理描写がおかしくはないか。作者が勝手に語ってるだけのところがないか。注意しなくちゃいけないくらいなので無意識に出てしまっている可能性があります。


失敗したこと

目立った失敗点は二つあります。ひとつが、書きだめが少ないうち(05までの段階)に見切り発車してしまったこと。もうひとつが、告知の予測の甘さ。
この結果、皆様を大変長らくお待たせしてしまいました。僕自身が常に締め切りを意識し『9割の品質で見切り投下をした後で手直しをする』という悪循環にも陥りました。また、小出しに発表することで既出の設定に縛られる他、伏線が限定されるという弊害があります。ちなみに今回の話は1万8千字弱。この長さではまだ連載形式より一度完成させてからの投下するほうが無難だと、僕は感じました。



最後に『キャラが一人歩きする』と物語作者がよく口にします。短編なので完全に管理していたつもりでしたが、一箇所見落としていました。
ラクス、“うらやましい”なんてぼやく予定じゃなかったんです。いつ紛れちゃったんだろう。

ともあれ、拙い妄想世界に最後までお付き合いありがとうございました。キャラ一同共々心より御礼申し上げます。

2005年11月1日 管理人るんめる 拝


※なお、1100万人のなかで300人が暴動を煽ってうまくいくのかどうかは確かめずに適当に書いています。実行されても成功する保証は全くありませんのでくれぐれもご注意くださいませ。


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