お気づきの方もいらっしゃると思うが、このサイトのアカウント「pinkpink」である。
名前を出会い系詐欺会社から流用したのはともかく、もともとの目的は帥将ラクスについての考察であった。
今回の話は『二人のラクス』、ああまさにピンクピンクじゃん放映三日後になって気がつく始末。



ガンダムSEEDデスティニー44話 二人のラクス B面


A面はこちら

 

どうも気になったのでもう一度見返す。納得いった結論。

今回の話はやっぱり二人のラクスの対比である。


というのも、
・ネコ男にはラクスと交渉の意志があったようだが、ラクス演説の内容により断念
・ラクス次第では、回避とはいかないまでもレクイエム発動の遅延は可能だったのではないか
・レクイエム発動により、この戦争はザフトにとって本当の意味での祖国防衛戦になった(戦争の質が変化している)
・ラクスの仮想敵はネコ男ではなく、一貫してザフトの議長である
・レクイエム発動により、ミーアはザフトの象徴としてラクスに対抗が可能

つまりラクス演説→レクイエム、という因果関係が成立し、その結果としてテロリストないしは加害者としてのラクス&ジブリールと、被害者の精神的支柱としてのミーア&議長、という対立の構図ができる。
ついでにこの二人、ラクスが確信犯で流れを作ろうとしているフシがあるのに対し、無自覚なミーア、という対比でもある。

が、この構図、イマイチ釈然としない。というのも現時点ではラクスが議長を敵視する理由、そして彼女の目的がはっきりしないためである。


3:ラクス演説のもたらしたもの
Aパートで述べたように、ラクスの演説の第一目的はミーアの突き崩しである。ではあの世界の混乱の描写はなんだったのか?

あの世界の市民になったつもりで口を半開きにして聞いてみた。あら不思議、彼らの混乱が手に取るようにわかるではないか!
長いしスルーしたかったのだが全文を引用してみる。


その方の姿に惑わされないで下さい。(はぁ?誰だよコイツあぶねーかっこしやがって。てか俺ラクスちゃん見たいんだけど)
私は、ラクス=クラインです。   (え゛?ってかそりゃちょっと似てるけどお前そりゃ電波だろ)

私と同じ顔、同じ声の方がデュランダル議長と共にいることは知っています。(いやお前まず顔ぜんぜん違うから)


ですが、私はシーゲル=クラインの娘であり、先の大戦ではアークエンジェルと共に戦いました私は、今も同じかの船とともにいます。

(へ?アークエンジェルって何よ。戦ったって?)

彼女と私は違うものであり、思いも違うものであることを、まず申し上げたいと思います。
(そりゃ違うのは当たり前でしょ。てかお前誰?こんなヤツ出してくるなんてオーブってやっぱり意味不明だな)


(あーあ、ラクスちゃんかわいそ。こんなイっちゃってるヤツが乱入してきたらそりゃショックだろうな・・アイドルってやっぱストーカーとかあるらしいしな。)


私は、議長の言葉と行動を支持しておりません。戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのはすべて、戦わせようとする死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは、本当でしょうか?それは真実なのでしょうか?
(うへぇやっぱコイツ電波?つーか俺はラクスちゃんがみたいの。政治の話なんかすんなよ)

ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼ら、世界、あなたではないのだ、という言葉のワナに陥らないで下さい。
(陥ってないってば。陥ってるのあなたでしょうが。てか俺たちが悪いとでも言うのかこいつは?)

むろん私は、ジブリール氏をかばうものではありません。ですが、デュランダル議長を信じるものでもありません。我々は、もっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の 、真の目的を。
(そりゃそうでしょう。てかあなた何しに出てきたの?)


戦争でストレスがたまっている社会において、このイベントは格好の話題提供となったのではなかろうか。
陣羽織の方が本物ってことはないだろうけど脇で見ている分には面白い。視聴率とか投書という点では反響はすごそうである。だがあれは“大反響”であって“大混乱”ではないのではないか。

もう一つのポイントとして、ラクスがオーブ(アークエンジェル)支援を明言していることが挙げられる。
目的が何であれ、彼らの行動は21世紀の地球ではテロであるように見えてしまう。
ラクスが本物でも、この演説だけでは実は意味がないのではないか?
のみならず、ラクスにとってむしろ不利なのではないか?


状況を整理してみる。
ユニウス7が落ちて地球は大打撃を受けた。
ユニウス7を落としたのがザフトだった、ということで地球連合軍がザフトを攻撃したが敗退した
ザフトも反撃してきたので全世界的にまた大戦になった
議長演説により市民が一斉に連合に反発、連合軍が総崩れになった

・議長演説が短期間に支持されたのは、ロゴスへの敵対心>>>>>>ユニウス事件への恨み となるだけのあくどい営業をロゴスが一般人民相手にしてきたためであろう。

つまり、『ザフトが先に攻めてきた』というのが大多数の地球人の認識であるはずなのだ。
『そりゃちがう!』と言いたい議長側がミーアを利用。
ラクスが議長を敵視するのはれいの暗殺未遂と『ユニウス7落としたのやっぱりお前だろ』と思っているからではなかろうか。


要約する。
地球側市民とラクスは『ザフトと戦う』という点では共闘しうる。アークエンジェルもザフトと戦うゲリラ戦力として事後的に正当化ができるはずなので、イメージの大きなマイナスにはならない。勝てればの話であるが。


私たちに強烈に違和感があるのは、『ユニウス7を落としたのが議長だという確証がない』ことと、『アークエンジェルの行動が無差別テロにしか見えない』ためである。

してみると、揺さぶりでもかけないと議長追い落としの決定的な証拠がない、ということがあの演説の動機なのではなかろうか。

それにしても、シンといいミーアといい議長といい、描かれてきた動機付けや過程にくらべてあまりにも根性が座っていない。
しっかりしろよコシヌケ!と言いたくもなろうものである。



4:煽動

レクイエム発射で大きく変わった世界情勢を受け、宇宙に上がり議長と戦うことを決意したアークエンジェル。
多くの女性ファンの心を射止めたことであろうアスランとキラの握手はともかく、ここもポイントはラクスの話術。

キラたちの興奮は最初はレクイエムの悲劇に向けられていたはずなのに、いつの間にか被害者側の議長と戦うのが目的になっているのだ。
上述の演説でも「あなたも悪いんじゃない?」と世界市民を巻き込もうとしているフシがあるが、ここでもすりかえがある。それこそ『言葉のワナ』で流れが変わってしまっているのだ。
 

ラクスの提言を要約すると「現状はまずい。でも議長の考えていることもまずい。だから議長を止めよう」ということである。

ザフトの悲劇の責任については「幸せになるための手段が戦いしかないのなら私たちには戦いの連鎖を止める術はない」とのこと。
いきなり微妙である。敗北宣言とも取れるし、責任回避の効果もある。まず仮定が二つ入っているうえに目的語が微妙。
無難に日本語訳すると「私たちは戦いに勝つのは余裕だが、戦いを選ぶ人間の心の動きまでは止めることは出来ない」といったところか。

 

後半のデスティニープラン。恐るべきプランのようなのだが、ここでもラクス、「おそらく〜なのでしょう」と推測と明言した意見しか言っていない。
ラクスの語っていることが真実だという保証が全くないにも拘らず、真実の報告だと信じ込んでキラたちが勝手に暴発している。普通に考えれば現状の解決が先のはずなのだ。


ラクスの一連の行動は『戦争の原因からして議長が仕組んだことだった』ことを証明すれば一応は正当化がされそうであるが、現時点では戦争の助長にしか見えない。

戦いの連鎖はともかく、ネコ男を止めることは可能だったのではないか。ラクスとネコ男、言動を見ている限りでは議長相手なら共闘も可能そうである。この責任についてもアスキラに「お前らが戦う相手間違えたからこんなことになったじゃないか」とは言えそうであるが。


ともあれ、今回も前回同様、ラクスの行動で他の人間の行動が規定されている。議長しかり、ネコ男しかり、そしてアークエンジェル、しかり。
そして、その方向は戦争の加速。

前作で世界の指導者に最も近い立場にあったのはラクスであった。彼女には天下を取る才幹もある。が、前作のあとで彼女は権力を取らずに引退しているし、今回も世界安定の意志がそれほど感じられない。降りかかる火の粉を払っているだけのようにも見える。目的が気になるところ。んなもんあればの話だが。

どうでもいいがこの問題、ややこしいことしないで
「おぅロン毛。あなたがなに考えててもどうでもいいんです。あなたはしてはいけないことをしました。わかる?
ユニウス?ちがう。世界情勢?ちがう。あなた、私に手出した。これ、いけないこと。どうなるかわかってるよね?
エターナルとうちの身内で
どこまでも追いかけてってギタギタにしてあげるから首洗って待ってなさいよ。」
とでもいえば終わりの気がする。世界巻き込むなよ。・・・ってああ見せしめか。「ラクスに手を出したら国ごとつぶされる。」これは怖いな、うん。



5:結論のようなもの
前回にしても今回にしても、世界が気に食わないときに積極的に動いて流れを変えようとするのがラクスである。結果として全世界が振り回される。

いっぽう、ミーアがいる。今回のレクイエムの被害と“ラクス”の位置付けを考えれば、現時点でラクスを止めうるのはミーアが最有力なのではないか?
ラクスのように苦労して流れを作らなくても、ミーアには立場も人気も後ろ盾もある。『いま彼女にしかできないこと』もある。絶対やらないだろうけど。

ラクスとミーアの差はおそらく、『自己』の有無であろう。絶対の自信の根源でもある。ラクスは明確な意志を持って行動しているが、ミーアにはない。
デスティニープランの回想でもミーアが引き合いに出されていたが、この世界の人間には根本的な欠陥があるのではないか。

つまり、主体性がないのである。
人間は本来、自分を取り巻く環境に好奇心をもち、知ろうとする。そして考えて工夫をする。自我というものを持っている。だがこの世界の人間、そうした形跡がほとんど見られない。他人に何かを言われたら頭から信じ込み、いきなり過激な行動に走っている。彼等が知的生物なのか非常に微妙なところである。
デスティニープランの社会にしても、『決まった運命に全く疑問をもたず、考えようともしない人間』が前提になっている。ロゴスが糾弾されたときもそうだし、ユニウス7にしてもメディアの影響を受け簡単に血が流れている。のみならず政治家レベルまでが動揺している。
デスティニープランそのものよりむしろ、それがすんなり受け入れられそうな世界の方が問題なのではないか?


今回ラクスが仕掛けたのはある意味、『自我』への挑戦である。自分の都合のために他人の命を平気で踏み台にしているのだから、人間の常識から行けば反発がきて当然なのだ。一方ミーアもまた『人間として当然の感情』に基づいて行動するだけでラクスを越えたヒロインになりうる。ラクスには意志があり、ミーアには環境条件がある。そしてその環境条件が整ったのはラクスの意志の結果である。

ラクスの仕掛けで流れが動き、それに対抗できるのも、もう一人のラクスのみ。今回の話はやはり、二人のラクスの物語なのである。
決してあんなトイレットペーパーの芯だか産業廃棄物だかが主役の話ではないのだ。


<けつろん>
すべてを制するものは、やっぱり、ピンク。




以下、気になった小ネタ。

ジブリールもニセラクス立ててれば通用したのではなかろうか?

ミーア演説、そもそも意味があったのだろうか?カガリなだけにほっといても自滅していたのではないだろうか。

議長の『馬鹿な!何でラクスがオーブに』。ラクスは宇宙にいるはずだと思っていたのか、それともカガリなんかと組んでどうするんだよと思ったのか。
ラクス軍は単体でなら無敵のゲリラ軍。オーブとの関係を公然にしても逆にお荷物が増えるだけの気がする。

「 彼女(ラクス)から命令が来るわけじゃないわ」、とタリア艦長。1ヵ月後にはギャグになりかねないセリフである。

いきなり宇宙へ?と驚くミネルバの面々。彼らの目的がジブリール討伐であることを考えれば全然いきなりではないはず。

ルナマリア、シンに盗聴で聞いた内容は言っていない模様。彼女とシンの心の距離はどの程度なのだろうか。

某所で指摘があったが、早くもレクイエムの詳細が入っているレイのパソコン。戦線に現れる前のジャスティスの画像もある。彼は諜報員とか煽動工作員にでもなった方がいいのではないか。・・・いきなり倒れるからダメか。

どうでもいいがレクイエム、守らなくちゃいけないポイントの数と連合に制空権がなさげなことを考えると、あの一撃で片がつかなかったのは致命的なのではないか。
さらにどうでもいいが、レクイエムの中継点の数とネコ男のネコが巡ってきた拠点の数は同じな気がする。ジブリールの手元にネコがいなかったことを考えると、やはりレクイエムのナビゲーションはあのネコがやっているのだろうか?と思わずほほえましいことを想像してしまう。

そもそもネコ男、あそこまで追いまわされなければレクイエムを使わなかったのではないか?
というか彼がわざわざ司令室にきたのは引き金を引きたかったからなのだろうか。彼の思想背景とレクイエムの戦果を考えると、それだけのためにあれだけの苦行をしたとしてもある意味納得。あとでブルーコスモスの会報とかサイトに『引き金を引いた際の興奮』とか感動のインタビューなどが掲載されそうである。

どうでもいいが戦うのが軍人、というのもどうなのだろう。国家の仕事の一つには内外の治安維持というものがある。安心感の維持も価値のはずなのだ。戦争を語るならスタッフにはもっと勉強してほしいところ。それよりも問題発言。「最近では作っても使わないやつが多い」とのこと。連合にはまだまだ危険な兵器が沢山ありそうである。

というかネコ男の中の『敵の痛点』は議長ではなくザフト本国だったようである。
議長だけ討てば停戦も可能だろうが本国を撃てば殲滅目的の総力戦になる。この人勝算あるのだろうか?

本日オレンジショルダー登場。そういやザクザクキャンペーンの続きは?
そういえばジュール隊、同数以上の敵を相手に損害が出ていない。艦砲やグレネードの精密さといい精鋭である。グラスゴー隊にしてもジュール隊にしても、これだけ有能な連中に後を任せていれば議長が宇宙とか戦争の結果そっちのけで地球に下りた心境も多少はわかろうものである。戦術と戦略の有能を混同したからこの結果になったわけだが。
 
どうでもいいが議長の目的にしてもレクイエムにしても、この世界なだけに連合やザフトの公式サイトに普通に詳細が載ってそうで怖い

レクイエム発動シーンで「自分の世界を完全否定か!やるなぁフクダ」と一瞬だけ震えてしまった俺がいる。

どうでもいいがこんな大事なもん警戒してないザフト、いかがなものか。あそこまであからさまに怪しいコロニーなだけに1つくらいは見つけてもよさそうなものである。ていうか戦争中だろうが。
まぁ連合も隠れてこそこそ何かをするのは非常に得意だよな。


2倍速の早送りでみていたら駆け出すタリアがマラソンのスタートに見えてしまった。

さらにどうでもいいがレクイエム護衛艦隊、数がいるくせにほとんど役に立っていない

ミネルバの大気圏脱出時、ラウンジで普通にくつろいでいるシン・ルナ・レイ。人類も進歩したらしい。

デスティニープランの『そぐわないものは淘汰調整管理』って本編の議長の部下見てるだけでもとても無理な気がする。条件に合致するのってレイしかいないし。てかそんなことしなくても議長、普通に権力取って地球圏支配できそう。

ミーアを止めるときのアスランってシンにしか見えないんですが。

今回の悲劇、タリアとカガリの共闘で回避できたのではないか?面識があり、ミネルバの艦長=タリアとカガリが想定していた様子も描かれている。カガリ側から回線を開いていれば高確率で実現していた気がする。


ネオってやけにえらそうだよな。捕虜だったくせに。女の連れ子に威張りちらす再婚相手みたいだ。というかヨドバシでトダカのオーブ艦隊のシーンなんか見てるともはや同一人に見えない。

議長ってチェスしなくなってから一気にしょぼくなった気がする。やっぱりチェスって頭脳を活性化させるんだろうか。
   


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