(前半はこちら

 

あちこちで言われるように、話的には第3話くらいまでに欲しかった『ガンダム大活躍編』。

 

前作に比べて主人公たちが目立っていない理由を考えて、ハタと思い当たる。

アークエンジェルのクルーはめちゃくちゃな現実に直面し、生存のためみんなが不慣れなことをいきなりやらされる。

いわば、“冒険”である。

 

これに対し、ミネルバはクルーもパイロットももともとのエリートである。彼らは“仕事”をしているに過ぎないのだ。

前作でのザフトパイロットのサイドがいまいち、アークエンジェルクルーの井戸端会議描写の違和感などはこれが原因なのではなかろうか?

 

 


ガンダムSEEDデスティニー12話 血に染まる海(後半)



<あらすじ>
地球軍が満を持してミネルバに仕掛けるが種割れしたシンによりボコボコにされる。

<みどころ(後半)>

後背にオーブ艦隊、前方には待ち構えていた地球軍。

圧倒的に不利な交戦を強いられ、ミネルバの命運は―――――!?

 

 

各陣営の思惑が複雑に交錯する。

地球軍、「ロアノーク(兄貴仮面・MA使い)の報告」にあった新型艦と交戦するのは「ザムザザーのデモ」として有意義で、「これからの新型MAの時代」の証明にもってこいだ、と思ってそうな人が指揮官。

 

別項でも述べたように軍内でのMA推進論者で、今回の戦でその有効性を実証しようとしているふしが見て取れる。

 

手負いのミネルバが絶好のニエに見えたのか、新鋭MSの大盤振る舞い。

ネコ男がどういう思惑で彼らを配置したのかを考えると、この能天気な戦いぶりはいとあはれである。

 

 

オーブ(ユウナ)としては地球軍と同盟した矢先である。ザフト艦をかくまっていたという事実を、その船を手土産にするということで一気に挽回して見せたいところ。が、そこはユウナ君。怪しいのは外見と言葉遣いだけで老練さを垣間見せる。

 

すなわち、「(ミネルバに対し)砲撃してもかまわない」とは言ったものの、「当てて沈めろ」とは言わない。これで“命令に従わないスタッフは誰か”の踏み絵も同時に行っており、さすがにカガリを直線的だと非難するだけのことはある。

 

 

ラクス軍、その真意はいまだ不明なれど、この地域での戦闘行為がそのままラクス軍の敵を減らすという事実には変化がない。

デートを装って戦闘の推移がわかる場所にちゃっかり位置しているのがラクス。彼氏役のキラはそのまま護衛にもなるわけだ。

 

 

 

三者の思惑が複雑に絡まる中、開始される戦闘。

 

 

やたらノリノリのシン。役割はどう考えても対艦砲なのにMS相手にきりきり舞いのルナマリア。ひたすら保身の言葉を口にするレイ。

こちらも三者三様である。

 

シン、確かに強く、地球軍の新鋭(?)MSウィンダムがばったばったと落とされる。

援護するレイとルナマリア。レイはともかく、大口径ランチャーのルナマリア、まったく役に立っていない

 

戦いたけなわで巨大MAザムザザー登場。アネゴ、的確に判断。

「あんなものにとりつかれたら―!」

確かに取り付かれただけで沈みそうな巨体。でかい。イージス艦並にでかい。が、不幸にもパイロットたちは「取り付いてのしかかるのが一番有効」とは気づいていない模様。MAで高機動MSに空戦を挑んでしまう。

 

乗っているのはオヤジ3人衆。見逃したラクス決起の回も含めて思うのだが、種デスは無名のオヤジキャラが多すぎる。

ギレンの野望=アカハナの野望ジーンの系譜、だった俺としてはこうした能力値Cパイロットの名前はゲーム化に備えて是非充実させて欲しいところ。

 

とはいえ、ここで働くのは数の有利。押されに押されたミネルバの危機に気をとられたシン、ついにザムザザーにつかまってしまう。

 

 

と、ここで。浮かぶマユ(妹)の顔。「おにいちゃん、ぜったいけっこんしようね(はぁと)」

 

 

 

 

 

「こぉんなところでぇえええええ」シン種割れ。

 

 

 

デュートリオンビームを受けるやあっという間にザムザザーを屠り、返す刀でシルエット換装、地球軍艦隊に壊滅的打撃を与える。

その鬼神の如き働きには味方もあっけにとられるばかりであった・・・・・

 

 

さて、各所でコメントされているところのシンの種割れであるが、

シンはそもそもトップガンである。軍で鍛えに鍛えられ、帰化した外国人ながらたった2年でトップエリートまで上り詰めた男だ。

MS訓練では赤服の精鋭相手に日夜鍛え抜いていたはずである。それこそレイやルナマリアを相手に。

なんどもなんども歯を食いしばり、文字通り血反吐を吐く思いをしてきたに違いない。マユの顔を思い出しながら。

だからこそ彼は異例の抜擢を受け、ガンダムを与えられているのである。ミネルバのクルーはそのシンの仲間たちだ。

要するに・・・・・

 

異常者にしか見えなかったシンの行動は、

 

 

作中の人物たちにとってはごくごく当たり前の日常ごとだったのである。

 

 

そう考えると、前大戦でフリーダムの威力を目の当たりにした、ザフトの真意が見て取れるのではあるまいか。

MSの保有制限があるこの世界でなぜ、インパルスのような特異な機体がシンに与えられたのか?

ストライクの特長とフリーダムの戦闘力を併せ持つMSにラクスの“誘惑”の効かない最強パイロット。

仮想敵をラクス軍としても、それなりに辻褄が合う。

 

 

いっぽう、あっさり殺された地球軍のみなさんは哀れきわまる。

パイロットスーツだけは3バカと同じだったザムザザーオヤジ3人衆、フェイズシフト装甲の色つき現象を見て驚いている。

もともと地球軍の技術、それも2年も前の陳腐化した技術である。いくらMAパイロットとはいえ知らないのは致命的ではあるまいか。

しかもおっさんキャラである。ベテランのはずなのに。

やはり、この回の戦闘は地球軍にとっては威力偵察の色合いが強かったのではなかろうか?オーブにばっちり見られてるし・・

 

 

どうでもいいがデュートリオンビーム、特定の場所(額)にしかセンサーがない。頭を壊されたらどうするのだろう?

 

 

<けつろん>

美形でなければ人にあらず。

 

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